厚木市や海老名市では、親御様がお住まいの実家マンションの相続や、生活スタイルの変化をきっかけにマンションリノベーションを検討する方が増えています。築年数を重ねた住まいでは、現代の暮らしに合わせて間取りを変えたいというご希望も多く聞かれます。
そこで最初に出てくる疑問が、「我が家の壁は撤去できるのか」ということです。可否を左右するのは、建物の骨組みである「ラーメン構造」と「壁式構造」の違い。本記事では、それぞれの特徴と間取り変更で確認したいポイントを解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。壁の撤去の可否は、図面と現地調査を踏まえた、建築士や施工会社などの専門家による確認が前提となります。管理規約や法令の取り扱いは、物件や時期によって異なります。
1. マンションの構造による間取り変更の違いと基本知識

マンションの室内にある壁はどれも同じように見えても、担っている役割が大きく異なります。建物を支える「耐力壁」と、空間を仕切るだけの「間仕切り壁」の2種類があるためです。間取りを広げたり部屋数を変えたりするときは、まず既存の壁がどちらに当たるのかを見極める必要があります。
構造形式の基本を知っておけば、計画段階での判断も進めやすくなります。
壊せる壁と壊せない壁の見分け方

住戸内の壁には、建物の耐震性や構造耐力を担う壁と、部屋の境目として設けられた壁があります。撤去を検討できるのは、構造的な負担を持たない間仕切り壁のみです。
◆耐力壁◆
建物の自重や、地震・風圧などの水平方向の力を支える壁。原則として、解体や開口部の新設はできません
◆間仕切り壁◆
石膏ボードや木軸、軽量鉄骨(LGS)などで作られた、空間を区切るための壁。撤去できる場合があります
ただし、見た目や叩いた音だけで耐力壁かどうかを判断することはできません。コンクリートの壁でも建物を支えていないものがあり、仕上げ材の下に耐力壁が隠れている場合もあります。正確な判別には、設計図書(竣工図)の確認と現地での調査が必要です。
また、間仕切り壁であっても管理規約の範囲内で工事ができるか、壁の中に配線・配管・ダクトが通っていないかの確認が必要です。
構造形式がリノベーションの自由度に及ぼす影響

マンションの骨組みには、主に「ラーメン構造」と「壁式構造」という2つの代表的な形式があります。どちらで建てられているかによって、壊せる壁の範囲や位置が変わってきます。
柱と梁の枠組みで建物を支えるラーメン構造では、住戸内の壁の多くが間仕切り壁として作られているのが特徴です。一方、壁そのもので建物を支える壁式構造では、住戸内にも撤去できない壁が配置される傾向があります。2つの違いを整理すると、次のとおりです。
ラーメン構造 | 壁式構造 | |
建物を支える仕組み | 柱と梁のフレーム | 厚いコンクリートの壁 |
住戸内の耐力壁 | 少ない傾向 | 多い傾向 |
間取り変更の自由度 | 高い傾向 | 制限が大きい傾向 |
室内の見え方 | 柱型・梁型が出る場合がある | 凹凸が少なくすっきり |
主な建物 | 中高層・高層マンション | 低層マンション・団地 |
共通の注意点 | 戸境壁や外壁などは共用部分。 | 同左 |
構造形式の違いを事前に把握しておくことが、理想の住まいづくりへの第一歩になります。
ご自宅の構造を確認する方法

お住まいのマンションがどちらの構造か分からない場合は、次の方法で確認できます。
●竣工図や構造図を確認する(「耐力壁」「耐震壁」の記載を探します)
●管理会社や管理組合に問い合わせる
●施工会社に現地調査を依頼する
手元に図面がなくても、管理会社が保管していることがあります。まずは問い合わせてみましょう。
2. ラーメン構造の特徴と間取り変更の自由度

中高層マンションの多くで採用されているラーメン構造は、室内のレイアウトを大きく変えたいリノベーションに向いた構造形式です。ドイツ語で「額縁」や「枠」を意味する言葉のとおり、柱と梁を強固に接合したフレームで建物を支えます。
この構造が、室内空間にどんなメリットと注意点をもたらすのか。設計の自由度や空間づくりの面から見ていきましょう。
ラーメン構造の仕組みと、間取り変更がしやすい理由
ラーメン構造の強みは、住戸内に建物を支える耐力壁を設ける必要が少ない点にあります。外周部と主要な柱・梁で建物の強度が保たれているため、室内の間仕切り壁を取り払う計画を立てやすいのです。
●細かく分かれた2LDKや3LDKを、広い1LDKに変更しやすい傾向がある
●キッチンを対面型やアイランド型にするなど、レイアウトを検討しやすい
●ライフステージの変化に応じて、部屋数を調整しやすい
住戸内を一度スケルトン(構造躯体のみの状態)にして、ゼロから間取りをつくり直すフルリノベーションとも、相性のよい構造といえます。
ただしラーメン構造でも、戸境壁や階段まわりなどが建物を支える壁(耐震壁)になっていることがあります。住戸内の壁がすべて撤去できるとは限らないため、どの壁が構造に関わるのかは、図面で確認しましょう。
また水回りの移動は構造形式とは別に、パイプスペース(PS)の位置や排水の勾配による制約を受けます。詳しくは6章で解説します。
ラーメン構造で見られる柱や梁(梁型)の存在

間取りの自由度が高い一方で、ラーメン構造には特有の注意点があります。室内の隅や天井に現れる「柱の出っ張り」や、「下がり天井(梁型)」です。
柱や梁は建物を支える主要な構造部分のため、削ったり貫通孔を開けたりすることは原則として認められません。家具を壁にぴったり寄せたいときに柱が干渉したり、梁で天井高が部分的に低くなったりする場面もあります。
リノベーションでは、柱や梁の存在をあらかじめ見込んで造作家具で隙間を埋めたり、間接照明を仕込んで空間のアクセントにしたりする設計が一般的です。
3. 壁式構造の特徴とリノベーション時の注意点

低層のマンションや団地で多く見られる壁式構造は、柱や梁ではなく厚いコンクリートの壁で建物を支える工法です。室内をすっきり使える居住性の高さがある一方、間取り変更には一定の制限が伴います。
親御様から実家を譲り受けた場合や、中古の低層団地を購入して再生したい場合、壁式構造ならではの特徴を理解しておくことが大切です。
壁式構造の仕組みと、室内の耐力壁による制約

壁式構造は、床・天井・壁という面全体で力を受け止める、箱型に近い仕組みです。柱や梁の出っ張りがないため室内が四角く整いやすく、家具も置きやすいという長所があります。
ただし、住戸内のコンクリート壁の多くが、建物を支える耐力壁として機能している点には注意が必要です。耐力壁を撤去すると建物全体の耐震バランスに影響するため、広い空間をつくりたいという希望があっても壊すことはできません。
●部屋同士を一体化して広いリビングにしたくても、壁が中央に残る場合がある
●耐力壁への新たなドアや開口部の設置は、原則としてできない
●撤去を検討できるのは、木や石膏ボードで作られた一部の間仕切り壁に限られる
耐力壁を活かした間取りづくりの工夫
住戸内に壊せない耐力壁があっても、魅力的な住まいはつくれます。耐力壁の位置を逆手にとり、空間をゆるやかに区切る設計が向いています。
たとえばリビングと寝室、あるいはリビングとワークスペースの境界に耐力壁を置く。視線を適度にさえぎりながら、つながりも感じられる回遊動線をつくるプランです。耐力壁の表面に珪藻土やデザインタイルを施して、アクセントウォールに仕立てる方法もあります。
構造上の制約を住まいの個性として活かす発想が、壁式構造のリノベーションを前向きに進めるポイントです。
4. 厚木市・海老名市のマンション・実家の構造の傾向

厚木市や海老名市は、都心へのアクセスのよさと自然環境が調和し、ベッドタウンとして発展してきた地域です。駅周辺の中高層マンションから、郊外の低層集合住宅や団地まで、さまざまな集合住宅が混在しています。
お住まいのマンションやご実家が、どんな背景で建てられたのかを知ることは、構造形式を推測する手がかりになります。
厚木市・海老名市の住宅環境と、建物の年代・タイプ
駅周辺には、平成以降に建てられた中高層のマンションが見られます。こうした建物の多くはラーメン構造(鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造など)で、免震・制震装置を備えた物件もあります。一般に、間取り変更がしやすい傾向があります。
一方、駅から離れた住宅地には、昭和50年代から平成初頭に供給された、低層の集合住宅や団地もあります。こうした建物には、壁式構造が採用されている場合があり、耐震性の面で評価されることもあります。ただし、室内に耐力壁が配置されている可能性が高いため、リノベーションの計画では構造図面での確認が前提になります。
構造形式は建物ごとに異なります。ご自身のマンションがどちらにあたるかは、図面や管理会社への確認で調べましょう。
実家の相続で対象となりやすい建物の特徴
親世代が購入した実家を相続したり、生活スタイルの変化から改修する場合、対象の建物は築30〜40年を超えていることが少なくありません。
・築年数の古い低層マンションでは、壁式鉄筋コンクリート造(WRC造)が採用されている傾向がある
・中高層マンションでも、給排水管の縦管(パイプスペース)が、住戸の中央付近に配置されている場合がある
・床下のふところ寸法(スラブと床仕上げ面の間の隙間)が狭いと、配管の移動範囲が制限されやすい(直床か二重床かで状況は異なる)
築年数の経過したマンションリノベーションでは、壁の構造だけでなく床下の配管経路や設備の更新しやすさもあわせて確認しておきましょう。現地での丁寧な事前確認が、予期せぬ設計変更を防ぎます。
5. ライフスタイルの変化によるマンションリノベーション

子どもが独立して夫婦二人の暮らしになると、かつて必要だった部屋数や広さが、今の暮らしに合わなくなることがあります。年齢を重ねるにつれて、段差や冬の寒さが気になってくる方も多いでしょう。
老後を見据えたリノベーションでは、今の暮らしやすさと、10年後、20年後の安心をあわせて考えることが大切です。構造の特性を踏まえて、どんな間取りの見直しができるのかを見ていきましょう。
空いた子ども部屋を活かす、暮らしに合わせた間取りの再構成

子どもが独立したあと、子ども部屋が物置のようになっているご家庭は少なくありません。この機会に、夫婦二人の暮らしに合わせて間取りを見直してみませんか。たとえば、次のような方法があります。
●個室を2つつなげて、趣味室やワークスペースにする
●個室を減らし、LDKを広げて、夫婦で過ごす時間を中心にした間取りにする
●帰省した子どもや孫のためのゲストルームを残し、普段は書斎や収納として使う
構造の特性によって、進めやすさは変わります。ラーメン構造では、間仕切り壁を撤去して部屋をつなげる計画を立てやすい傾向があります。壁式構造では、壊せない耐力壁を残したまま部屋の用途を変える方法が中心です。たとえば、耐力壁を書斎と寝室の境界として活かせば、視線をさえぎりつつほどよい距離感をつくれます。
どの壁を撤去できるかは1章でお伝えしたとおり、図面と現地調査での確認が前提です。
老後を見据えたバリアフリー化と、動線の見直し

今は元気に過ごせていても、将来の暮らしやすさを考えて早めに備えておく方が増えています。マンションのリノベーションで検討したいのは、次のような点です。
●段差の解消:玄関、浴室、トイレの入口などの段差をなくし、つまずきを防ぎます
●引き戸の採用:開き戸より開閉しやすく、杖や車椅子を使うときにも役立ちます
●手すりの下地:今は手すりを付けなくても、浴室やトイレ、廊下の壁に手すり用の下地を入れておくと、将来の取り付けが楽になります
●廊下やトイレのスペース:車椅子での旋回や介助を考えて、幅や広さにゆとりを持たせます
●寝室から水回りへの動線:夜間も移動しやすいよう、距離を短く、動線を単純にします
ただし、マンションでは床のかさ上げによる天井高の圧迫、床の遮音性能、管理規約の制限があります。水回りを寝室の近くへ移したい場合も、PSの位置や排水勾配の制約を受けるため6章の内容とあわせて検討しましょう。
冬の寒さ対策も、老後の暮らしでは大切なテーマです。マンションでは窓まわりが熱の出入りの大きな場所になりやすく、窓のサッシやガラスは共用部分にあたるのが一般的です。内窓の設置など、専有部分の中でできる断熱の方法を管理規約の範囲内で検討しましょう。
→マンションの窓は勝手に交換できない?結露・寒さを解決する「内窓」という選択肢
なお、要支援・要介護の認定を受けている場合は、介護保険の住宅改修費の支給制度を使える場合があります。対象となる工事や条件、申請のタイミングが決まっているため、ケアマネジャーや施工会社に早めに相談してください。
将来の住み替えや、暮らしの変化にも対応できる設計
老後の暮らしは、10年、20年のうちに少しずつ変わっていきます。今は快適でも、身体の状況や家族構成の変化に合わせて使い方を変えられる余地を残しておくと安心です。
●可動式の間仕切りや引き戸を使い、将来、部屋をつなげたり分けたりしやすくする
●収納は、腰から目の高さを中心に配置し、重い物を高い所や低い所にしまわなくて済むようにする
●掃除や管理の負担を減らせるよう、床や壁の仕上げは、手入れしやすい素材を選ぶ
また将来、住み替えや売却、賃貸を考える可能性があるなら間取りを特殊にしすぎない配慮も大切です。個人の趣味に合わせて作り込みすぎると、次の住まい手が見つかりにくくなる場合があります。
構造の制約を理解したうえで、今の暮らしと将来の暮らしの両方に合う計画を立てておきましょう。リノベーションの費用も退職後の収入や老後の生活費を踏まえて、無理のない範囲で考えておくと安心です。
6. マンションの壁撤去で失敗しないための確認ポイントと規約

マンションのリノベーションは戸建てと違い、集合住宅ならではの共通ルールの中で進めます。構造上は撤去できる間仕切り壁でも、管理規約や配管設備の事情で工事が制限されることは珍しくありません。
着工してから「思い通りの間取りにできない」とならないよう、事前に確認しておきたいポイントを整理します。
専有部分と共用部分の境界線と、管理規約の制約
マンションの建物は所有者が自由に変更できる「専有部分」と、住民全員の共有財産である「共用部分」に分かれています。壁についても、境界線を意識しておきましょう。
◆隣の住戸との境にある「戸境壁」◆
共用部分にあたります。防火や遮音の面でも要求があるため、原則として手を加えられません。コンクリート部分へのビス打ちなども、規約で禁止または制限されているのが一般的です
◆外気に面する外壁やバルコニー側の壁◆
共用部分で、撤去や開口工事はできません
◆耐力壁◆
原則として、解体や開口部の新設はできません(構造躯体は共用部分のため)
◆住戸内の間仕切り壁◆
専有部分で、管理規約の範囲内で撤去・新設できる場合があります
さらに、管理規約には、床の遮音等級(LL-45など)や工事できる時間帯、電気容量の上限などが、細かく定められています。計画の初期段階で、条文を丁寧に確認しておきましょう。
管理規約や共用部分の考え方は、【マンションの窓は勝手に交換できない?結露・寒さを解決する「内窓」という選択肢】でも詳しく扱っています。
パイプスペース(PS)と、水回りの移設の限界
間取り変更で意外な壁になりやすいのが、給排水管の縦管が通る「パイプスペース(PS)」です。全戸をつなぐ共用配管が収められているため、位置を動かしたりサイズを縮めたりすることはできません。
キッチンを対面型に変えたり、浴室を移したりするときは排水管に一定の傾斜(勾配)をつける必要があります。PSから離れた場所へ水回りを移すと、勾配を確保するために床を大きくかさ上げしなければならず、天井高が圧迫されることがあります。
床下の配管構造とPSの位置の関係を把握したうえで、無理のない移設プランを立てましょう。詳しくは、【マンションのキッチン・お風呂はどこまで移動できる?「床下配管」と「PS」の壁をプロが解説】で解説しています。
アスベスト(石綿)の事前調査への対応
中古マンションのリノベーションで、特に注意したいのが、アスベスト(石綿)の事前調査です。大気汚染防止法の改正により、建物の解体・改修工事では、規模にかかわらず、事前に石綿の有無を調べることが義務付けられています。さらに一定規模以上の工事では、有資格者による調査と、調査結果の行政への報告も必要です。
2006年ごろまでに建てられたマンションでは、壁の仕上げ材、下地調整材、ビニル床タイル、配管の断熱材などに石綿が含まれている事例があります。調査で含有が分かった場合は法令に基づく飛散防止の措置や、専門的な除去の費用がかかり工期にも影響することがあります。
現地調査の段階から法令に詳しい施工会社に相談し、余裕のあるスケジュールを組んでおくと安心です。
まとめ

マンションの間取り変更は、建物の構造形式によって自由度が大きく変わります。柱と梁で支えるラーメン構造は壁の撤去がしやすく、多彩なプランを描きやすい構造です。厚い壁で支える壁式構造は、耐力壁を活かしたゾーニングがポイントになります。
厚木市や海老名市で住まいづくりを進めるには、建物の年代や工法を見極め、管理規約や共用配管の制約を把握しておくことが大切です。壁の撤去の可否は、図面と現地調査を踏まえた専門家の確認が前提になります。
マンションの間取り変更でお悩みの方は、ぜひリノベハウスにご相談ください。建物の構造や管理規約を確認したうえで、できること・難しいことを整理してご提案します。
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