厚木市や海老名市でマンションリノベーションを検討している方の中には、「壁付けキッチンを憧れのアイランドキッチンにしたい」「お風呂をもっと広い場所に移動したい」と夢を膨らませている方も多いでしょう。しかしマンションにおける水回りの移動には、戸建てにはない高いハードルが存在します。
本記事ではマンションの間取り変更における最大の壁である「配管」と「パイプスペース」の仕組みを分かりやすく解説し、制約の中で理想を叶えるためのポイントをご紹介します。
マンションの水回り移動は可能?知っておくべきルール

「マンションの専有部分なら、予算さえあれば水回りをどこへでも自由に移動できる」と思っていませんか?実はこれはリノベーションにおける大きな間違いです。マンションには建物全体の構造や各マンションが独自に定めているルールがあり、場合によっては水回りの移動が一切できないケースも存在します。
まずは理想の間取り図を描く前に必ず確認しておきたい「規約」と「共用部」というルールについて、正確な知識を身につけておきましょう。マンションリノベーションは、ここを無視して計画は進められません。
「部屋の中ならどこでも自由に移動できる」わけではない

リノベーションの雑誌やSNSの劇的なビフォーアフターの事例を見ていると、まるで水回りの設備をパズルのように自由に配置できるように錯覚してしまいます。しかし実際のマンションリノベーションにおいて、水まわり設備は「部屋の中ならどこでも移動できる」というわけではありません。
水回りを移動するということは、水を供給する給水管や給湯管、そして使った水を流す排水管を新しい場所まで物理的に延長しなければいけません。その延長ルートが確保できない構造であったり、物理的なスペースが不足していたりする場合はどんなに優秀なデザイナーや職人であっても希望通りの場所への移動は実現できません。
理想と現実のギャップを埋めるためには、事前の構造確認が不可欠なのです。
水漏れを防ぐ「管理規約」による禁止や制限

マンションリノベーションにおいて、技術的な問題の前に立ちはだかるのが「管理規約」というルールです。マンションは多くの住人が共同で生活する集合住宅であるため、階下への水漏れトラブルや騒音トラブルを未然に防ぐ目的で水回り設備の移動を規約で厳しく制限、あるいは完全に禁止している物件が少なくありません。
例えば「水回りは元の位置から半径1メートル以内までしか動かせない」といった細かい指定があるマンションもあります。どんなに素晴らしい設計プランを作ったとしても、管理組合に工事の申請を出した際に規約違反で却下されてしまえば、すべてが白紙に戻ってしまいます。
リノベーションの初期段階で、必ず規約の細則まで確認する必要があります。
共用部分である「パイプスペース(PS)」にも注意

マンションの間取り図を見ていると、「PS」と書かれた四角い小さなスペースがあることにお気づきでしょうか。これはパイプスペース(パイプシャフト)の略で、マンションの全階を縦に貫いている大元の太い排水管や給水管が通っている非常に重要な場所です。
押さえておきたいのは、この「PS」が個人の持ち物(専有部分)ではなくマンション全体の「共用部分」にあたるという点です。そのため個人のリノベーションの都合でPSの位置を勝手に動かしたり、サイズを小さくしたりすることは法律上できません。
水回りの移動とは、つまりこの固定されたPSへ向かって新しい排水管をどう繋ぎ込むかというパズルを解くことに他なりません。
見えない床下が明暗を分ける!「配管構造」に注意

管理規約を無事にクリアし、PS(パイプスペース)の位置を把握したら次に重要になるのが目に見えない「床下の構造」です。マンションの床の作り方によって水回りが移動しやすい物件と、とても困難な物件に分かれます。
ここではリノベーションの自由度を大きく左右する床下構造の違いや、とても重要な「排水勾配」の仕組み、そして築古マンション特有の配管の劣化問題について詳しく解説します。
二重床と直床(床スラブ下配管)の決定的な違い

マンションの床構造には大きく分けて二つの種類があります。ひとつは、コンクリートの床の上に直接フローリングなどを貼る「直床(じかゆか)」。もうひとつは、コンクリートと床材の間に空間を設ける「二重床(にじゅうゆか)」です。
二重床の場合には床下の空間に配管を通すことができるため、水回りの移動の自由度が比較的高いというメリットがあります。一方で問題となるのが、直床の中でも築古マンションに多い「床スラブ下配管」という構造です。
これは自分の部屋の排水管がコンクリートを貫通し、「下の階の住人の天井裏」を通っています。この場合、配管を移動するためには下の階の天井を解体させてもらう必要があり、現実的に水回りの移動はほぼ不可能となります。
水を流すために必須となる「排水勾配(傾斜)」

二重床で床下にスペースがあったとしても、水回りをどこまでも遠くへ移動できるわけではありません。ここで注意したいのが「排水勾配(はいすいこうばい)」という排水するためにはどうしても必要なルールです。
排水管は水や汚物をスムーズにPSの大元へ流すために、必ず一定の傾斜(勾配)をつける必要があります。排水管の傾斜ルールは物件によって異なりますが、一般的に排水管を1メートル延長するごとに約1センチ〜2センチの高さ(傾き)をつけなければなりません。つまり元の位置から遠くへ移動させればさせるほど、配管のスタート地点を高く持ち上げる必要が出てくるのです。
床下の空間に十分な余裕がないマンションで無理に移動させようとすると、勾配が取れずに水が詰まったり逆流したりする致命的なトラブルを引き起こします。
築古マンションでは配管自体の「劣化と更新」も大前提
厚木や海老名エリアでも増えている築30年〜40年以上のヴィンテージマンションをリノベーションする場合、間取りの変更以前に考えなければならないのが配管自体の寿命です。
昔のマンションの配管には今とは違う素材のパイプが使われていることが多く、築年数が経つと内部が劣化して水漏れ寸前になっていたりするケースが見られます。
このような古い配管をそのまま再利用して位置だけを移動させるのは、非常に危険です。築古物件の水回りを移動する際は単なる移動ではなく、専有部分内の給排水管をすべて最新の樹脂管などに新しく交換することを大前提として計画と予算を組む必要があります。
水だけでなく空気の通り道も重要。「換気ダクト」にも注意

キッチンやお風呂の移動を考えるとき、どうしても給水管や排水管など「水」のルートばかりに目が行きがちですが、「水」のルートと同じぐらいに重要な設備があります。それが「換気ダクト」のルート確保です。
料理をした時に発生する煙やニオイ、お風呂場の湿気など汚れた空気を建物の外へ排出する通り道がなければ換気設備は機能しません。ここでは天井裏の換気ダクト延長に関する制約や、マンションの構造が及ぼす影響、天井のデザイン面への配慮について解説します。
換気扇から外部へ繋ぐダクトの延長ルートが必要

キッチンのレンジフードや浴室の換気扇から吸い込まれた汚れた空気は、天井裏を通る太いアルミ製のジャバラ管(ダクト)を通って、マンションの外壁に設けられた排気口から外へと出されます。給排水管と同様に、この換気ダクトも新しい位置から外壁の排気口まで延長する必要があります。
ダクトが長くなったり曲がる回数(カーブ)が増えたりすると換気扇の排気効率が著しく落ちてしまい、煙やニオイが部屋の中に充満しやすくなります。移動距離が長い場合はより排気パワーの強い換気扇モーターを選ぶなどの対策が必要になり、機器のグレードアップに伴う追加の予算も考慮しなければなりません。
コンクリートの「梁」に穴を開けられない

換気ダクトの延長ルートを考える上で、越えられない障害物がマンションの「梁(はり)」です。天井を見上げたときに出っ張っているコンクリートの梁は、マンション全体を支えるための極めて重要な構造体であり、当然ながら共用部分に該当します。
ダクトをまっすぐ外へ通したいからといって、このコンクリートの梁に穴を開けることは建物の耐震性を著しく損なうため構造上・法律上認められていません。つまり換気ダクトは既存の梁に開いている元々の穴を通すか、あるいは梁の下をぐるりと迂回するようにして配管するしかありません。梁の位置によっては、希望する場所へダクトを伸ばすルートがどうしても確保できず、水回りの移動自体を断念せざるを得ないケースもあるほどです。
天井の高さやデザイン(現し仕上げ等)への影響

換気ダクトを梁の下へ迂回させたり距離を長く延長したりする場合、それらを隠すために天井の形を変える必要があります。ダクトが通る部分だけ天井を一段低くして箱のように覆う(下がり天井)のが一般的ですが、移動のルートによってはリビングのど真ん中に不自然な段差ができてしまい、空間の開放感を損なってしまうことがあります。
また最近のマンションリノベーションで人気の、天井のコンクリートをむき出しにする「現し(あらわし)仕上げ」を希望する場合はダクトを隠す天井自体がなくなるため、銀色の無骨なダクト管が丸見えになってしまいます。
あえてインダストリアルなデザインとして見せる手法もありますが、仕上がりのイメージが大きく変わる点には注意が必要です。
水回り移動で発生する「追加費用」の内訳と相場

水回りを移動させるリノベーションは設備機器を同じ場所でただ交換するだけのリフォームとは異なり、目に見えない床下や天井裏で多岐にわたる大規模な工事が発生します。「新しいキッチンの本体価格」だけを見て予算を組んでいると、後から提示される見積もりの総額に驚いてしまうことになります。
ここでは水回りを思い切って希望の場所へ移動させた場合に、通常の交換工事にプラスして確実に上乗せされる「追加費用の内訳」について、解体から配管延長、復旧までのプロセスに沿って解説します。
既存配管の解体と移動先の床・天井の解体費用
水回り移動でまず発生するのが、広範囲にわたる「解体工事費用」です。水回りを動かすためには古いキッチンやお風呂の設備を取り外すだけでなく、古い配管を撤去するために元々あった場所の床を広範囲にわたって剥がさなければなりません。
さらに新しい移動先の床や天井も、新たな配管ルートを通すために解体して開口部を作る必要があります。部分的なリフォームであっても配管のルートを確保するためだけに、リビングや廊下のフローリングを一部剥がす必要が出てくるケースも多く、解体作業の手間と発生する廃材の処分費用が通常の交換工事よりも大きく膨らむことになります。
移動距離が長ければ長いほど解体しなければならない範囲も広がり、コストは比例して上がっていきます。
給水・排水・ガス・換気ダクトの延長と位置変更費用
解体作業が終わると、次に行うのがライフラインの「配管延長・位置変更工事」です。これが水回り移動における最も専門的で手間のかかる工程となります。ここまで解説してきた給水管・給湯管・排水管・換気ダクトに加え、コンロ用のガス管も含めたすべての設備インフラを新しい位置まで接続し直す工事です。
特に排水管は、適切な勾配をミリ単位で計算しながら施工する高度な技術が求められます。これらの配管材料費(パイプや継手など)に加え、給排水設備業者やガス工事業者、電気・空調工事業者など、複数の専門職人が現場に入って連携しながら作業を行うための人件費(施工費)がそれぞれ別々に追加で必要となります。
解体した床や天井を元に戻すための復旧工事費用
配管やダクトを新しい位置まで無事に通し終えたら、最後は剥がした床や天井を元通りにする「復旧工事(内装工事)」が必要です。床下で配管を繋いだ後は新しく合板を張って床の下地を作り直し、その上にフローリングなどの仕上げ材を張っていきます。
天井も同様にダクトを隠すために石膏ボードを張り直し、新しい壁紙(クロス)で仕上げます。ここで注意したいのが、部分的にフローリングを剥がした場合は古い床材と全く同じ色の材料を見つけるのは難しく、色合わせのために部屋全体の床を張り替えなければならなくなるケースが多いことです。
このように水回りの移動は、「設備代+配管工事費+内装復旧費」という3つの大きな費用が重なることを念頭に置いて予算を組む必要があります。
制約を乗り越えて理想を叶える!プロのプランニング力

ここまでマンションにおける水回り移動の構造的な厳しさや、費用面での様々なハードルについて詳しく解説してきました。「やっぱり理想の間取りは無理なのか…」と落胆する必要はありません。物理的・法的な制約を熟知した上で工夫を凝らし、お客様の理想の間取りに極限まで近づけることこそがプロの腕の見せ所なのです。
最後に厳しい条件を逆手にとって素晴らしい空間を作り上げる、プロならではのプランニングの手法と、厚木・海老名エリアでの会社選びの重要性についてお伝えします。
床を上げることで勾配の問題を解決

どうしてもキッチンやトイレの移動距離が長くなり、床下の空間だけでは排水勾配(傾き)が足りない場合の解決策として、「床を上げる(小上がり化する)」という手法があります。
キッチンやトイレの周囲の床だけを、リビングの床よりもわずかに高く設定します。こうすることで床下に十分なスペースが生まれ、遠く離れたPS(パイプスペース)へ向かってスムーズに水が流れる勾配を確保することができます。
なお床を高くすると段差が生じるため、バリアフリーに配慮した住まいを目指す場合は慎重な検討が必要です。
PS(パイプスペース)を活かしたアイランド風キッチン

絶対に動かせない共用部分である「PS(パイプスペース)の柱」が、希望する広いリビングのど真ん中に残ってしまうケースがあります。このような場合、PSを隠そうとして無理に壁を増やすと空間が狭く感じられてしまいます。そこで提案するのが、この動かせないPSの柱をあえてキッチンのデザインの一部として取り込む手法です。
例えばPSの柱に沿うようにしてカウンターを造作し、そこを起点にアイランドキッチンやペニンシュラキッチンを配置します。PSの柱にはリビングのインテリアに合わせたお洒落なタイルや木目のクロスを張り、空間のシンボルタワーのように見立てます。
制約であるはずの邪魔な柱を、空間を彩る魅力的なデザイン要素へと変換するプランニングです。
厚木・海老名エリアのマンション事情に詳しい業者選びを
リノベーションで憧れの対面キッチンや広いお風呂を実現したい場合、自分のマンションでそれが本当に可能かどうか、事前に「マンションの管理規約」と「見えない配管の構造」をプロにチェックしてもらうことが失敗しないためのコツです。特に厚木市や海老名市周辺には、築浅のタワーマンションから築40年を超えるヴィンテージマンションまで、構造も規約も全く異なる多様な物件が混在しています。
リノベーションの検討初期段階で地元エリアのマンション構造を熟知している、地元密着の専門業者に現地調査を依頼しましょう。制約を正確に見極め、予算内で最大限の希望を叶えるための「移動できる限界と代替アイデア」を提案してくれるパートナーを見つけることが成功への近道です。
まとめ

マンションの間取り変更における水回りの移動は、「管理規約」「床下の配管構造(PSや勾配)」「換気ダクト」という3つの大きな壁をクリアしなければなりません。また、配管延長に伴う追加費用や、築古物件における配管更新の必要性も重要なポイントです。
憧れの対面キッチンや広いお風呂を実現したい方は、物件の構造上それが可能かまずは専門家に調査を依頼しましょう。厚木・海老名エリアでのマンションリノベーションは、高いプランニング力を持つリノベハウスへぜひご相談ください。
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