大きな地震が発生するたびテレビやスマートフォンの緊急地震速報の音に、心臓が跳ね上がるような思いをした方も多いのではないでしょうか。 「次は我が身かもしれない」「この古い家で、家族を守りきれるだろうか」という不安は、揺れを感じるたびに大きくなります。
特に、築30年、40年を超える木造一軒家にお住まいの方にとって、家の耐震性は命に関わる切実な問題です。しかし、「耐震補強」というと、「費用が高そう」「家全体を壊さないといけないのでは」と、二の足を踏んでしまうのが現実ではないでしょうか。
この記事では、耐震補強にかかる具体的な「費用相場」と築年数による「リスクの違い」、そして賢く工事を行うための「補助金活用術」について、専門家の視点で徹底解説します。不安を安心に変えるための第一歩を、ここから踏み出しましょう。
「耐震補強」は必要なのか?築年数で見るリスクの境界線

「うちは古いけど、今まで倒れてないから大丈夫」 そう思っていませんか?実は、木造住宅の耐震基準は、過去の大地震を教訓に大きく2回、改正されています。ご自宅がいつ建てられたか(建築確認日がいつか)によって、リスクの大きさは明確に異なります。
【危険度大】1981年(昭和56年)5月以前の「旧耐震基準」
1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」と呼ばれます。 この基準は「震度5強程度の地震で倒壊しない」ことを想定しており、現在想定されている震度6〜7クラスの大地震(阪神・淡路大震災や能登半島地震クラス)が起きた場合、倒壊するリスクが極めて高いとされています。 この年代の家は、基礎に鉄筋が入っていなかったり、壁の量が圧倒的に足りなかったりするため、早急な「耐震診断」と「補強」が必須です。
【要注意】2000年(平成12年)5月以前の「81-00木造住宅」
「1981年以降の『新耐震基準』だから安心」と思っていませんか? 実は、木造住宅に関しては、阪神・淡路大震災(1995年)の被害実態を受けて、2000年6月にさらに厳しい基準改正が行われました。これがいわゆる「2000年基準」です。
1981年〜2000年5月の間に建てられた木造住宅は、新耐震基準ではあるものの、「柱と土台の接合部が緩い(ホールダウン金物がない)」「耐力壁の配置バランスが悪い」といった弱点を抱えているケースが多く存在します。この世代の住宅も、現行基準に引き上げるための補強が推奨されます。
頻発する地震と「繰り返しの揺れ」への備え
近年の地震(熊本地震や能登半島地震)の特徴は、震度7クラスの激震が「2回以上」襲ってくることです。 1回目の揺れには耐えられても、構造用合板が釘から抜けたり、筋交いが折れたりしてダメージを負い、2回目の揺れで倒壊してしまうケースが後を絶ちません。
これからの耐震補強リノベーションでは、単に「固める」だけでなく、繰り返しの揺れにも粘り強く耐える構造へのアップデートが求められています。
耐震補強リノベーションの費用相場は?【工事内容別】

実際に耐震補強を行うにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)のデータや、一般的な施工実例に基づいた相場をご紹介します。
耐震補強工事の平均費用は「約150万〜200万円」
一般的な延床面積30〜40坪程度の木造住宅において、耐震性を現行基準(耐震等級1以上・評点1.0以上)まで引き上げるための工事費用の平均は、約160万円前後と言われています。 ただし、これはあくまで平均値です。家の劣化状況や、どの程度まで強くするかによって、以下のように幅があります。
旧耐震基準(〜1981年)の家
180万〜250万円 (基礎からの補強が必要になることが多く、高額になりがちです)
新耐震基準(1981〜2000年)の家
100万〜180万円 (金物の追加や壁の補強がメインとなるため、比較的抑えられます)
【内訳】どこを直すといくらかかる?
耐震補強は、いくつかの工事を組み合わせて行います。
1.基礎の補強(ひび割れ補修・鉄筋追加)
30万〜80万円 無筋コンクリート基礎に炭素繊維シートを貼ったり、ひび割れを樹脂で埋める工事です。
2.壁の補強(筋交い・構造用合板)
1箇所あたり10万〜20万円 今ある壁を壊し、筋交い(斜めの材)を入れたり、構造用合板を張って「耐力壁」にします。家全体で10〜20箇所行うのが一般的です。
3.接合部の補強(金物設置)
1箇所あたり3万〜5万円 地震時に柱が土台から抜けないよう、「ホールダウン金物」などで固定します。
4.屋根の軽量化
80万〜150万円 重い日本瓦を、軽いガルバリウム鋼板やスレートに葺き替えます。屋根が軽くなると、建物の揺れ幅が小さくなり、壁への負担が劇的に減ります。
なぜ耐震補強は「フルリノベーション」と同時に行うと得なのか?

「耐震工事だけで200万円もかかるの?」と驚かれるかもしれません。しかし、ここで重要な視点があります。 それは、耐震補強を「単独で行う」か、「リノベーションとセットで行う」かで、コストパフォーマンスが劇的に変わるということです。
二重の「解体費・復旧費」をカットできる
耐震補強をするには、一度、壁や床を剥がす(解体する)必要があります。そして、補強が終わったら、また壁紙を貼り直し、床を張り直す(復旧する)必要があります。 もし、「今年は耐震工事だけ」「数年後に内装リノベーション」と分けて行うと、この「解体・復旧費用」が2回分かかってしまいます。 間取り変更を伴うフルリノベーションであれば、もともと壁や床を解体するため、そのタイミングで筋交いや金物を入れることは非常にスムーズであり、実質的な耐震工事費を材料費+施工手間賃だけに圧縮できるのです。
スケルトン(骨組み)状態で「隠れた劣化」を直せる
耐震補強の最大の敵は、壁の中で進行している「雨漏り」や「シロアリ被害」です。これらは表面的なリフォームでは見つけられません。 フルリノベーションで一度家を骨組み(スケルトン)状態にすれば、柱や土台の腐食を目視で確認し、悪い部分を交換した上で補強できます。 「補強したつもりだったのに、柱の中が腐っていた」という最悪の事態を防ぎ、確実に家を強くできるのが、セットで行う最大のメリットです。
間取りの自由度と耐震性は両立できる
「耐震補強をすると、壁が増えて部屋が狭くなるのでは?」と心配される方がいます。 しかし、最新の耐震設計では、構造計算に基づき、必要な場所に強い壁を配置することで、むしろ広々としたLDKを実現しながら耐震性を上げることが可能です。 「抜けない柱」をデザインとして活かしたり、制震ダンパーを組み込んだりすることで、デザインと安全性を両立させるのが、リノベハウスのプランニング力です。
費用を抑える切り札。「補助金」と「減税」をフル活用

耐震補強は国を挙げて推進している事業であるため、非常に手厚い補助金制度が用意されています。これを知らずに工事をするのは大きな損失です。
自治体の耐震改修補助金(最大100万円以上も)
多くの自治体で、木造住宅の耐震改修工事に対して補助金を出しています。 例えば、厚木市や海老名市を含む神奈川県内の多くの自治体では、旧耐震基準の住宅などを対象に、診断費用や改修工事費用の一部を補助する制度があります。
耐震診断補助
費用の2/3〜全額など(数万円〜十数万円)
耐震改修補助
工事費の1/2〜4/5など(上限50万〜120万円程度) ※自治体や年度によって予算枠や条件が異なります。必ず「契約前」の申請が必要です。
工事後の「税金」が安くなる(所得税・固定資産税)
耐震改修を行うと、以下の減税措置を受けられる可能性があります。
所得税の控除(投資型減税)
耐震工事にかかった費用の10%(最大25万円程度)が、確定申告によって戻ってきます。
固定資産税の減額
工事完了後の翌年度分、固定資産税が1/2(家屋の120㎡相当分まで)に減額されます。
※適用には「工事費用が50万円超であること」等の要件を満たし、原則として工事完了後3ヵ月以内に市区町村へ申告する必要があります。。
住宅ローン減税の適用
旧耐震の物件でも、耐震基準適合証明書を取得することで、住宅ローン減税の対象となる場合があります。
耐震診断と工事の流れ

耐震補強リノベーションは、いきなり工事をするわけではありません。医師の手術と同じで、まずは精密な検査(診断)が必要です。
STEP1:専門家による「耐震診断」
まず、今の家がどれくらい地震に強いか(または弱いか)を数値化します。これを「上部構造評点」と言います。
評点1.5以上: 倒壊しない(耐震等級3相当)
評点1.0〜1.5: 一応倒壊しない(耐震等級1相当)
評点0.7〜1.0: 倒壊する可能性がある
評点0.7未満: 倒壊する可能性が高い
リノベハウスでは、床下や屋根裏に入っての目視調査に加え、図面との照合を行い、現状の評点を算出します。多くの未補強の古民家は、0.4〜0.6程度であることが多いです。
STEP2:補強プランの作成(対話による設計)
「評点を1.0(現行基準)以上にしましょう」「いや、より安心な1.5を目指しましょう」など、予算と安心のバランスをお客様と話し合います。 どこに壁を追加すれば生活動線を邪魔しないか、どの窓を残したいか。この「対話」こそが、リノベーションの満足度を決めます。
STEP3:補助金申請と工事実施
補助金の申請は、必ず工事契約前に行います。許可が下りてから着工し、解体→補強→中間検査→内装工事→完了検査という流れで進みます。工事期間はフルリノベーションの場合、3ヶ月〜5ヶ月程度が目安です。
まとめ

地震はいつ来るか分かりません。明日かもしれませんし、10年後かもしれません。 しかし、確かなことは、「準備をしていない家は、家族を守れない可能性がある」ということです。
耐震補強リノベーションに200万円かけることは、決して安くない出費です。しかし、それによって得られるのは、大地震が来ても「この家なら大丈夫」と思える心の平穏と、被災後も住み続けられる生活の基盤です。 キッチンを新しくするのと同じように、いやそれ以上に、家の「骨組み」を新しくすることは、ご家族の命と財産を守るための最も価値ある投資です。
「うちはどれくらい費用がかかる?」「補助金は使える?」 そんな疑問をお持ちの方は、ぜひリノベハウスにご相談ください。私たちは、現地調査による正確な診断と、お客様の暮らしに寄り添ったプランニングで、災害に強く、そして何より心地よい住まいをご提案します。 地震のニュースを見て不安を感じている今こそ、最初の一歩を踏み出してみませんか。
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